2020年6月15日
カナダ国内で、カナダの法律に従って作られる、ウイスキーです。
カナディアン・ウイスキーの誕生は1769年であったとされる
カナダでのウイスキーの生産が本格化したのは、アメリカ合衆国の独立戦争後、独立に批判的なイギリス系の農民が当時はまだイギリスの植民地であったカナダに移住し、そこで穀物の生産を開始した頃であるとされています。
カナダでは18世紀の後半に穀物が過剰生産となり、その余剰穀物を使って製粉所が蒸留酒の製造を始めました。
そこで生産される蒸留酒は、その多くはアメリカ合衆国向けでしたが、この頃の製品は「one day whisky」とも呼ばれる粗悪品で、蒸留を行うとほぼそのまま熟成を行わずに製品として出荷するといった具合であったと言われています。なお、この蒸留酒は今日のカナダでは、同国の法律の関係で「ウィスキー」と名乗ることはできません。
カナディアン・ウイスキーの代表的銘柄である「カナディアン・クラブ」は1856年にその蒸留所をオンタリオ州のウォーカーヴィルで創業しています。
当時、カナダでのウイスキーは樽での販売が普通でしたが、「カナディアン・クラブ」は瓶に詰めて、さらに製造保証書を付けて販売したという点で、カナダのウィスキー史の中では特筆に価します。
1920年1月16日から1933年12月5日にかけてアメリカ合衆国が禁酒法の時代に入ったことにより地の利を生かし、隣国からの密輸が盛んに行われました。
密輸されたウイスキーの2/3はカナダ産ウイスキーであったともいわれています。
アメリカ合衆国で禁酒法が撤廃されても、良質なウィスキーの生産には長い熟成期間が必要であるため、カナディアン・ウイスキーが人気を博しました。
カナダでのウィスキーは、19世紀の後半までは、ライムギを原料としたものが主流でしたが、19世紀の後半からはトウモロコシなども原料として使われたりするようになりました。
今日のカナディアン・ウイスキーの特徴はトウモロコシを主原料とするベースウイスキーにライムギを主原料とするフレーバリーウイスキーを合わせることにあります。
ベースウイスキーが70~90%、フレーバリーウイスキーが10~30%という割合が一般的です。
■カナディアン・ウイスキーの法律
・穀類のみを原料とし、これを麦芽の持つデンプン分解酵素によって糖化し、酵母によって醗酵し、蒸留したもの
・カナダ国内で蒸留したもの
・容量700リットル以下の樽を用いて熟成を行い、最低でも3年以上の熟成期間を経たもの
■主な銘柄
・カナディアン・クラブ
・カナディアンミスト
・クラウンローヤル